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岩石薄片の安全なつくりかた。

 

写真1 吸盤(百均で売っています)

写真2 スライドグラスを付けます

写真3 研磨板で磨きます。
写真4 薄片の完成です。
写真5 琉球石灰岩(沖縄島南部)
写真6 角閃石(石垣島):
左(オープン)写真 右(クロス)
写真7 結晶質石灰岩(粟国島):
左(オープン)写真右(クロス)

 岩石薄片とは、岩石をスライドガラスに貼り付けて、20〜30μmまで薄く磨いたものをいいます。そうすることによって、岩石が光を通すことができ、鉱物や化石を顕微鏡で観察することができます。作成方法は岩石をスライドガラスに貼り付けることができる大きさにカットします。もちろん岩石ですからキュウリやトマトを切るみたいに簡単にはいきません。ダイヤモンドカッターを使用してカットしていきます。カットした岩石チップの片面を研磨剤を使用して磨いていきます。磨くことによって、岩石の表面をできるだけ凹凸の無いようにします。磨いた面をスライドガラスに貼り付けます。そして、再び岩石を研磨剤で磨きながら薄くしていきます。最終的に、顕微鏡で鉱物を確認しながら適度な厚さに仕上げていきます。岩石の面を保護し、顕微鏡で観察しやすいように、カバーガラスを貼り付けて完成です。
 さて、スライドガラスに貼り付けた岩石を削る作業では少々危険を伴います。磨きやすくするため、研磨剤を水で濡らしながら削るのですが、結構時間がかかるため、手の皮がふやけてきます。このときに、ガラスで指を切ることがしばしばあります。結構痛いです。 また、一度ケガをすると、ある程度治るまで作業ができなくなります。そこで、たくさんの薄片を作るときに、指をケガしないようにしなければないません。そこで思いついたのが、ガラスや壁にくっつける吸盤です。種類によってくっつき方が異なるのですが、中央部分に空気をためるくぼみがあるとよくくっつきます。
 吸盤を使うと指のケガを心配しないですむと同時に、強く回転板に押しつけても大丈夫なため、研磨速度もアップします。また、吸盤が透明なものを使用すると、岩石の磨き具合やスライドグラスの傾き具合も確認しやすくなります。水平面の調整をやりやすくなりました。ただ、最後の仕上げは丁寧に行わないと、あっという間にチップが無くなったりします。力が入れやすくなった分よく磨けるので、力の入れ具合には注意が必要です。
 さて、完成した岩石薄片の偏光顕微鏡で見たときの写真を紹介しますと、写真5は琉球石灰岩中にみられる有孔虫やウニのトゲの化石です。写真6が石垣島の閃緑岩、写真7が粟国島の結晶質石灰岩です。岩石によって構成する鉱物が異なるため、いろいろな見え方をします。岩石薄片は、偏光顕微鏡でしか観察できません。
 岩石薄片の作成は時間がかかりますが、大切な資料になります。でも、沖縄の岩石すべての薄片が作成できたらうれしいな〜。

主任学芸員 仲里健

 

 

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