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新収蔵品のご紹介

平成18年度 新収蔵品のご紹介

美術館では、近代から現代までの沖縄美術を中心に、日本及び本県を取り巻くアジア諸国の作品を収集してきました。また今後、アメリカの戦後から今日までの美術にも重点をおいて収集をはかります。

  • (1) 沖縄の近現代美術の優れた作品
  • (2)沖縄とゆかりのある近現代美術の優れた作品
  • (3)日本の現代美術の優れた作品
  • (4)アジア諸国の現代美術の優れた作品
  • (5)アメリカ現代美術の優れた作品
  • (6)現代美術の形成を理解するうえで必要な作品

このような方針を基に、美術館の核となるコレクションがさらに充実しました。昨年度の収蔵作品から一部をご紹介します。

1.彫刻

『僻日』西村貞雄(ニシムラ サダオ)
西村は1942年、沖縄県佐敷町に生まれます。琉球大学美術工芸科で彫刻を玉那覇正吉に学び、その後、東京芸術大学大学院に進学しました。学生時代から沖展に出品し、受賞を重ねます。79年には「残照」で二科会会友、87年には「珊瑚の帽子で」二科会彫刻部会員となります。県内のモニュメント等を数多く手がけ、北中城村の「平和祈念像」や「小渕恵三」前首相の銅像、「宮良長包記念像」の制作と、また復元の仕事としては首里城の竜柱などがあります。この『僻日』は76年の第61回二科会彫刻部門で特選を受賞した作品ですが、沖縄の老婦の髪型と張りのある形を見事に表しています。老婆と鳥のマッス、距離と空間が緊張感を醸し、造形と物語が見事に融合しています。
『虎』ゴヤ・フリオ・エドワルド
ゴヤ・フリオ・エドワルドは、1953年沖縄2世としてアルゼンチン、ブエノスアイレスの地方に生まれました。1988年には「第2回ロダン大賞展」美ヶ原高原美術館賞受賞(長野)、入賞(東京)するなど国内の公募展で数々の賞を獲得し数々の公共彫刻も手がけています。
マティスの線の柔軟さと色彩の影響を受けながら人体を基本のかたちとして制作されている作品には、沖縄とアルゼンチンの風土も造形の要素として溶け込んでいます。『虎』はステンレスで制作されたもので、2000年代の代表作のひとつです。ゴヤは来日以来20年、漢字を素材にした彫刻を常に考えていたそうです。ゴヤは「漢字は完成された美しいフォルムをもっているうえに、具象的な再現性をも有している」というと言います。記号の立体的造形による再解釈ともいえる本作品を、漢字という記号とかたちの関係にこだわらず、見る側はその伸びやかなかたちを見ればよいのでしょう。

2.絵画

『沖縄風景』北川民次(キタガワ タミジ)
北川は1894年、静岡に生まれます。早稲田大学を中退してから、最初はニューヨークへ渡り、国吉康雄らとアート・スチューデンツ・リーグで学びました。21年からはメキシコへ拠点を移し、ダビット・アルファロ・シケイロスらの壁画から受けた、ダイナミックな表現を追求するようになります。1910年のメキシコ革命後、22年からメキシコ・ルネサンスといわれる壁画運動が、シケイロス、デイエゴ・リベラ、ホセ・クレメンテ・オロスコを中心に始まりました。この民衆芸術運動は、戦前に来沖した藤田嗣治など、日本の画壇にも影響を与えています。「沖縄風景」は交友のあった藤田嗣治の翌年、1939年に沖縄を訪れた際のスケッチをもとに制作したものとして興味深い作品です。

3.工芸

『上原美智子 織シリーズ』上原美智子(ウエハラ ミチコ)
上原美智子は1949年、沖縄県那覇市に生まれます。玉川大学卒業後、柳悦博(ヤナギ ヨシヒロ)のもとで織物をはじめ、帰郷後、大城志津子に師事します。79年より「まゆ織工房」を設立し、「和の仕事」、「エアーシリーズ」、「あけずば織」などのシリーズを、県内外のギャラリーなどで発表を続けています。上原は、沖縄の伝統的な絣織をベースに、絹を用いた制作が多く、細い糸では3デニールの織物も作っています。また、発酵した藍を使わずに、生葉で染めてグラデーションを出すなど、染色工程に重点を置いた仕事が特徴的です。極細の糸で織り上げる「あけずば織」は、沖縄の古謡「七よみとはてんかせかけて置ちょて 里が蜻蛉羽(あけずば)に 御衣(んしゅ)ゆしらね」「幾度も幾度も細く糸を綛いで置いて、愛しい人のために蜻蛉羽のように美しい衣装を作ってあげたい」から名を受けています。
『花器』国吉清尚(クニヨシ セイショウ)
國吉は壺屋の仁王窯で学び、益子では濱田庄司に弟子入りします。若干若干22歳にして陶枕で沖展で奨励賞を受賞するなど、若い頃からその才能を発揮しています。白州正子も国吉の土瓶を愛用しました。しかしながら国吉は伝統から出発し、次々とそれを壊し、新たな領野にチャレンジしていきました。珊瑚や石、タイル片を入れた荒々しさと繊細さの入り交じった仕事を得意としました。『花器』は、器の壁が二重になっていて、その中にある小さな陶片が音を立てるという遊び心があります。珊瑚や石つぶなども入っていて、荒々しいなかにも、生命体のような艶かしさがあります。
昨年度は152件の新収蔵品があり、うち82件はご寄贈いただいた作品です。ご寄贈者をはじめ、関係者の皆様に感謝を申し上げます。ここで紹介しました作品は、平成20年3月からはじまる、コレクションギャラリーでの公開となります。ぜひ美術館へ足をお運びくださいますよう、お願いいたします。