新着情報

ホーム > 美術館トップ > 新着情報 > 「石川文洋写真展『戦争と人間』」のご案内

「石川文洋写真展『戦争と人間』」のご案内

2009年02月21日

沖縄県立博物館美術館 美術館コレクション
「石川文洋写真展『戦争と人間』」のご案内

会 場
 沖縄県立博物館・美術館 美術館コレクションギャラリー2
 
会 期
 2009年2月17日(火)から5月10日(日)
               
主 催 
 沖縄県立博物館・美術館
 
入館料
 ・大人300円 ・大高生200円 ・県外中学生100円(県内小中学生は無料) ・
70歳以上無料


 石川文洋氏は、著書『戦争と平和』(岩波新書)のおわりで、「戦争の取材を通して、人間の生命がいかに大切であるかを身にしみて感じた。その大切な生命を一度に多く奪ってしまう戦争が起こらないようにみんなで努力したい」とつづっています。氏は4年間ベトナムのサイゴン(現在のホーチミン)に住み、南ベトナム政府軍とアメリカ軍に同行取材を行って、ベトナム戦争と南ベトナムの日常を撮影しています。そしてベトナム戦争終戦後も、2005年のベトナム戦争終結30周年記念式典まで、ベトナムが戦争から平和へと至る長い道程を取材し続けてきました。それらの経験の中から語られる言葉には、何がはらまれているのでしょうか。
 本展覧会は、本館が収蔵する石川文洋氏の作品50点全てをご紹介するものです。今回、ベトナム戦争の実態を伝えたいというお気持ちから、氏自らが50点すべての作品解説を本展覧会のために書きおろされました。
 1995年4月5日発行の英字新聞「ベトナムニューズ」によると、ベトナム戦争の死者は、民間人200万人、解放軍(北ベトナム軍と南ベトナム解放民族戦線)兵士110万人(行方不明者30万人を含む)、南ベトナム政府軍兵士22万3748人、アメリカ軍兵士5万8200人(行方不明者2211人を含む)、支援国部隊の韓国・オーストラリア・ニュージーランド・タイ軍兵士の計5200人といいます。総数にして338万7148人。これは2009年1月現在の沖縄の総人口138万113人(沖縄県推計)の約2.5倍にあたります。そして不発弾や地雷、枯葉剤の影響による戦争被災者は今なお増え続けています。
現在もアフガニスタンをはじめ、世界では紛争が絶えません。この沖縄も米軍基地が駐留し、住民は基地の脅威にさらされる一方で、ベトナム戦争時のように、常に加害者にもなりうるという現実と共にあります。
 本展覧会が、ご観覧の皆さまにとって、戦争と人間についてあらためて考える機会となれば幸いです。
最後に、本展覧会に多大なご協力をいただきました、石川文洋氏、石川桂子氏に深く感謝いたします。

担当学芸員 大城仁美


くりっくすると拡大します

ベトナムを記録する

 兵士の動員数、使用弾薬総量、兵士・民間人の犠牲者数など、ベトナム戦争は第二次世界大戦後最大の戦争となりました。
 1946年に始まったフランス軍とベトミン同盟軍との戦争は、ベトミン軍の勝利に終わり、1954年、2年後のベトナム統一選挙を決めたジュネーブ協定が調印されました。
 当時、東西冷戦の中で共産主義との対決を世界戦略としていたアメリカは、統一選挙によってベトナム共産党が主導権を握ることに危機感を抱き、サイゴンにゴ・ディン・ジェム政権を樹立させました。そのことによってベトナムは南北に分断し、南ベトナムに反政府組織「南ベトナム解放民族戦線」が結成され、内戦となりました。アメリカは南ベトナム政府軍支援の戦闘部隊を派遣、北ベトナム軍も戦闘に参加し、ベトナム戦争は拡大しました。
 ベトナム戦争は世界の多数のジャーナリストによって取材された戦争としても大きな特徴がありました。南ベトナム政府軍・アメリカ軍を支援する資本主義国側と、解放戦線・北ベトナム軍を支援する共産主義側との対決という構図も関心を呼びました。アメリカ軍が戦場の取材に大きく協力したこともジャーナリストがベトナムに集まる要因となりました。1968年1月19日の時点で、サイゴンにあったアメリカ軍広報局がプレスカードを発行したのは464人になっていました。
 私は1964年、「トンキン湾事件」直後の8月8日に初めて南ベトナムのサイゴンへ行きました。翌1965年1月7日、再びサイゴンへ行き、それから1968年12月29日までの4年間、ベトナムに滞在しました。その間、フリーカメラマンとして南ベトナム政府軍、アメリカ軍の従軍撮影を続けました。帰国して朝日新聞社に入社した後も、1970年にアメリカ軍のカンボジア侵攻作戦に従軍し、1972年には初めて北ベトナムへ行きました。1975年、ベトナム戦争終結以降も、メコンデルタからハノイまでの南北縦断をおこなったり、カンボジア国境紛争、中越戦争など、ベトナム取材を続けてきました。
 2005年4月30日、ホーチミン市でベトナム戦争終結30周年記念式典を撮影しました。2008年9月にはダナンで催された日本・ベトナム国交正常化35周年の記念式典に出席しました。戦争から平和への、ベトナムの歴史をカメラマンとして44年間記録できたことを光栄に思っています。

石川 文洋