沖縄県は移民県としてつとに知られ、遠くは南米のペルー、アルゼンチン、ブラジルをはじめとし、北米、ハワイ、南洋群島などの地域へ多くの人々が夢を抱いて渡航しました。幾多の苦難を乗り越えた先人たちが、その勤勉さと地道な努力によって成功を収め、今日では現地社会を担うリーダーとして活躍している方も少なくありません。その結果、移民先からの金銭や物資の援助等により県経済の活性化や文化の発展に多大な貢献をしてきました。
芸術の分野では、沖縄から表現活動の場を求めて海外へ渡り、現地で成功を収める作家の存在が県内アートシーンへの刺激となり、また移動先における芸術活動の展開もますます活発になっています。
今回の開館一周年記念展となる企画展『移動と表現』では、“移動”という大きなテーマを軸として、第一章では占領下の沖縄で異文化との交流によって大きな影響を受けた「ニシムイの画家たち」の作品が展示されます。第二章では南米や北米で活躍している沖縄をルーツとする作家たちの作品が一堂に会します。第三章では近隣アジアで移動し活動する作家たちの作品を紹介し、さまざまな場所や時代の中で異文化接触によって美術表現がどのように変容し展開してきたかということを鑑賞していただきたいと思います。
また本展覧会が、これまでの沖縄像を問い直し、<移動>をキーワードにして沖縄の表現の幅を広げて、深化していくことを期待します。